ジョージア(グルジア)と、ジョージアからの独立を主張するアブハジアは、1992年以降、激しい戦争状態にあった。両者の間にはエングリ川が悠々と流れている。この川は春の雪解けとともにコーカサス山脈から肥沃な土を運び、中州をつくる。両岸で敵同士がにらみ合い、銃弾が飛び交う中、今年も、アブハズ人の老人は孫娘をともなって、昔からの風習のとおり、中州に小舟で渡り、小屋を建てて、土を耕し、とうもろこしの種を蒔いて、苗を育てる。しかし戦闘が激しくなり、ある日、彼らはとうもろこし畑で傷を負った若いジョージア兵を発見する…。
深い森と大河の悠々とした流れ、ときおり聞こえる銃声、とうもろこしを黙々と育てる老人、祖父との生活を余儀なくされた孫娘の成長――セリフを極力抑えて、大自然のめぐりと人間の営みを対比させ、戦争の意味を問う寓話的な傑作。

本作はオヴァシュヴィリ監督の長編第二作である。彼は第1作「向こう岸」(2008)でもアブハジア紛争をテーマにし、難民となった14歳の少年が父を探す旅をとおして戦争の傷跡を描いている。オヴァシュヴィリ監督は、毎年夏を過ごしたアブハジアに多くの思いがあり、1992年8月、突然、同じジョージア人であるアブハジアの青年に銃を突きつけられ「この国から去れ」といわて、友人と必死の逃避行をしたことが忘れられない。戦争は始まりアブハジアに住む25万人のジョージア人が家を追われて難民となった。
2年間、ジョージア中で舞台となる島を探したが見つからず、最終的にエングリ川に見立てた大きな貯水池に人工島をつくり、春から秋にかけて35ミリフィルムで撮影された。撮影シーンにあわせて何度もとうもろこしの植え替えをし、ラストの洪水のシーンもCGではなく全て手作業で行われた。本作は6カ国の合作であり、14カ国のスタッフが力を合わせてこの映画を完成させた。老人を演じるイリアス・サルマンはトルコのベテラン俳優。孫娘役マリアム・ブトゥリシュヴィリはジョージア中を探し回って、ある村で見出した演技経験のない少女である。
ジョージア(グルジア)と、ジョージアからの独立を主張するアブハジアは、1992年以降、激しい戦争状態にあった。両者の間にはエングリ川が悠々と流れている。この川は春の雪解けとともにコーカサス山脈から肥沃な土を運び、中洲をつくる。両岸で兵士がにらみ合い、銃弾が飛び交う中、アブハジア人の老人と孫娘は、昔からの風習のとおり、今年も中洲の小島に小舟で渡り、小屋を建てて、土を耕し、とうもろこしの種をまき、苗を育てる。戦闘は悪化し、ある日、傷を負った若いジョージア兵がこの島へ逃げこんでくる…。
1963年11月14日生まれ。ジョージア、トビリシ近郊のムツヘタ出身。1981年から1986年まで工科学校に在籍。ジョージア国立映画演劇大学(1996)、米、ユニヴァーサルスタジオのニューヨーク映画学校(2006)を卒業。国立劇場の俳優、子どもたちの芝居の演出、生活のために広告代理店の経営などに携わった。
短編「目の高さ」(2005)を製作、長編第1作「向こう岸」(2008)、第2作「とうもろこしの島」(2014)は国際的に高く評価され、数多くの賞を受賞した。
※「とうもろこしの島」以外は日本未公開。
「とうもろこしの島」には、私たちの姿勢を相手に示して、互いの小さな架け橋になってほしいという願いが込められています。今日の難しい世界情勢に対して、芸術が解決できる問題は少なくはありません。平和のために芸術の立場で出来ることはもっとあるのではないでしょうか。それによってその価値が減じることはありません。時代の危機に対して何らかの努力をすることは、私たち芸術家の課題であり、義務でもあります。